私が通った高校は、香川県下一の進学校。かといって、勉強一辺倒で
あった訳ではなくて、たぐい稀なる 自由な校風 があった。まあ、ボン
ボンばっかりやったから、あまり無茶な事をしなかった、というのもそ
の理由だろう。

 さて、それは梅雨寒が続く頃のこと。こんなに寒いから、当然水泳は
休みで、バレーボールになるんじゃないか? と皆思っていたら、「プー
ルに集合」と、あいなった。いや〜、寒い寒い水泳だった。先生は、大
学生みたいなホヤホヤ先生。体が冷え行くと同時に、クラスの面々に心
に期するものが育って行った。 (先生だけジャケットを着込んで、プー
ルサイドに立っているとは許せん!)

 さて、授業終了の笛が鳴ると、どこからともなく

  「おっとしーこめ! 落とし込め! 」

という声が沸き起こる。アッと言う間に先生を取り囲んだ皆は、先生の
手足をつかんで吊り上げ、2 〜3 回ハンモックの様に反動をつけて、冷
水のプールに放り込んだのであった。先生は、びしょ濡れになって、ひ
と声、

  「今日はこれまで」

と叫んだ。 (と記憶している。)

 自由な校風 であったから、特に何もおとがめ無しであった。ただ、
先生のデジタル時計が水を吸って壊れてしまったので、その分は金を出
し合って弁済した。