教科書に書いてあるだろう、簡単な物理でも、面倒な問題が多い。
(3) 境界条件
周期境界条件、ディリクレ条件、反周期境界条件の、どれを用いて理想気体の
フリーエネルギー F を求めても、体積 V -> 無限 の極限で F/V は一定値へと
収束する。少しオタクな本だと、球の内部に閉じ込められた場合まで証明して
ある。さて、頭を物理屋から数学屋に切り替える。じゃあ、射影平面なら、ど
うだ? もっと多様な connection だったら? (注: 曲率 R = 0 のもののみ考える)
円盤の周囲が、フラクタル状に凹凸がついた複雑なものだったら? こういう場
合に、カッチリと証明してある文献って、ないかな〜。 (Yang の定理でいいか?)
(2) 座標変換 1
水素原子に光をあてる。ライマン、バルマーなどの系列で光が吸収される。こ
の計算、普通は重心系で水素原子核と電子の束縛状態を解いて、ソレに対して
双極近似で吸収・散乱を取り扱う。が、待てよ、そもそも光を重心系で見るの
は近似だぞ。ついでに、光から受け取ったエネルギーの全部が、励起に使われ
る訳ではなくて、電子・原子核の並進運動にもエネルギーが分配されるゾ。水
素くらいなら、無視できるかもしれないけど、ポジトロニウムの場合だと、無
視できないよね〜。これ、カッチリと書いてあるのは....砂川先生の散乱の量子
論でもめくってみようか....
(1) 座標変換 2
量子力学の教科書で、座標変換のことをマトモに書いてあるものは稀です。も
ちろん、極座標から直交座標への座標変換ならドコにでも書いてあるのですが、
慣性系 A から A' への変換とか、回転系 (加速系) への変換などは、ほとんど
無視されています。高い励起状態で回転している H_2 分子なんて、どこにも
解説がありません。場の理論で、一般座標変換を与えているものは、幾らでも
あるのですが....「量子力学」は初心者の通過点になっているのかもしれません。