統計力学で、エントロピーは「加算な量」だと教わる。系 S と熱浴 R のエントロピー
を足しあわせると、全体のエントロピーになるのだ。

    S_tot = S_sys + S_r

情報理論的に考えると、系と熱浴の間の相互エントロピー (相互情報量) がゼロであるこ
とを意味している。

    I( s ; r ) = S_sys + S_r - S_tot = 0

でも待てよ、全系のエネルギーは U で一定だから、系がエネルギー e を持てば、熱浴は
エネルギー U - e を「必ず持つ」から、系と熱浴の間に相関が生じてしまうではないか?!

.... う〜んと考え込むこと半日、ようやく辿り着いた結論は「全系について、どんなアン
サンブルを考えるかによって、系と部分系の間の相互情報量が変化する」というもの。
「超熱浴」というドデカイ熱浴をもう一つ持って来ると、系のエネルギーと熱浴のソレ
は「無関係」になるから、ちゃんと S_tot = S_sys + S_r が回復されるのだ。

 改めて Gibbs の「慎重さ」というものを感じた瞬間だった。


関連ページ