Tsallis 統計が「統計力学」の講議で説明できるくらい簡単なんだったら、ちゃんと
最後まで書きなさい....という指摘をいただいたので、勢いに乗って追加。言っておき
ますが、全部「アルメイダ」という人の受け売りです。

 ....アルカイダとまちがわないように、アルメイダです.....

熱浴の状態密度を Ω、全エネルギーを Et、部分系のエネルギーを Es と書く時に、ボ
ルツマン因子 (?) の導出は以下のようになります。

 ε = Es / M を用いて

 Ω( Et - Es ) / Ω( Et ) = { Ω( Et -ε) / Ω( Et ) } {Ω( Et - 2ε) / Ω( Et -ε) } {Ω( Et - 3ε) / Ω( Et - 2ε) } .....

 = Π_j Ω( Et - ( j + 1 )ε) / Ω( Et - j ε)    j は 0 から M-1 まで (後に M → inf.)

 以下、M → inf. で等号 (=) になる近似を 〜 で表すことにしよう。

 〜 Π_j { Ω( Et - j ε) - εΩ'( Et - jε) } / Ω( Et - j ε)  テーラー展開

 = Π_j { 1 - εΩ'( Et - jε) / Ω( Et - jε) }

但し Ω'( E ) = d Ω( E ) / d E である。ここで、エネルギーの関数 T( E ) を導入する。

 1 / k T( E ) = Ω'( E ) / Ω( E )   右辺が左辺の定義

記号 T( E ) が「温度なのかどうか」は、ちょっと要注意な所がある。まあ大雑把に温
度に関係する関数だと考えておけば良い。

 Ω( Et - Es ) / Ω( Et ) = Π_j { 1 - ε/ k T( Et - jε) }

 〜 exp{ - Σ_j ε/ k T( Et - jε) }  ← 分割の数が充分大きければ成立

 〜 exp{ - ∫ 1 / k T( Et - x ) dx }  積分の下限は x = 0 上限は x = Es

温度モドキ T( Et - x ) を x について展開してみよう。

 k T( Et - x ) = k T( Et ) - ( q - 1 ) x + (高次項)

展開 1 次の係数を (q-1) と置くのは、ただの習慣。いま高次項を無視して (これを無視
しなければ、どうなるのかは興味のある所) これを積分に代入すると、

 Ω( Et - Es ) / Ω( Et ) = exp{ - ∫ 1 / [ k T( Et ) - ( q - 1 ) x ] dx }

 逆数関数の初等積分は、まあ積分公式集を見るまでもなく得られて

 = exp{ - ( 1 / ( q - 1 ) ) * [ log ( k T( Et ) - ( q - 1 ) x ] } 下限は x = 0 上限は x = Es

 = [ 1 - ( q - 1 ) Es / k T ( Et ) ] ^ ( 1 / ( q - 1 ) )

確かに Tsallis 分布が出て来ます。q → 1 でボルツマン因子 exp( - Es / K T ) に一致。

え〜と、同様に化学ポテンシャルを展開したら、大分配関数も変型できるかな? それ
が意味ある変型になってるかどうかは別として。 (化学ポテンシャルのパラメター依
存性は、とても要注意な所があるから。)


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