物性理論研究室・量子情報理論研究室 セミナー
大学院・4 年生向けセミナー (読会)

 前期の間、あるいは通年で物性物理学・統計物理学・凝縮系物理学などの洋書から、あるいはこれらの分野の基礎である場の理論の洋書から一冊を選んで読会を毎週行います。年度始めに幾つかのテキストの中から選択し、じっくりと、物理的な思考と、それを支える数学的な式変形について学んで行くのです。最近では、量子情報理論と物理学の関連について学んで行くこともあります。

 セミナーは、参加者全員が対等の立場で参加します。時として、いや往々にして「先生も読んだことのない本」がテキストとして選ばれます。みんなで読めば怖くない。発表する当番の人が読んで来るのは当たり前ですが、その他の参加者も「私の方がより良く理解している」という自負を持てるよう、予習することです .... そうは問屋が卸さないかもしれませんが。

 2009 年度は J.J. Sakurai の Advanced Quantum Mechanics を選びました。一度は「場の理論」について、カッチリと学んでおこうという魂胆です。2010 年度は、物性と超伝導の基礎について学ぶことになりました。また、希望者にはオプションで、ニールセンによる量子情報の教科書も読んでもらっています。(←2011年度のセミナーにも使いました。) 2012 年度は経路積分の学習行いました。(2013, .... 2019, 2020, ともかく毎年やってます。)

 読み会は「学習の場」と割り切って受講される方が多いですが、勿体ない事です。研究のネタが行間に幾らでも転がっています。何故?と思ったら、トコトン突き詰めて考えてみましょう。教科書なんて、著者が気付かない内に嘘を転がしてあったり、論理の誤摩化しの塊であったり、「初心者向けに」子供騙しのような記述ばかりであったり、要するに救いようのない書物であるものです、大抵の場合は。(もちろん、格調高い名著もありますが、そのような本であってもザルのように穴が空いてます。)若い内は、何事もナメてかかりましょう。恐れずに切り込んで行くと、その先に新しい世界が待ち受けています。
物性理論・超伝導・量子情報・エンタングルメント・テンソルネットワークを楽しみましょう